フランスの食生活でちょっとさびしいのは、アペリチフにチップスやらナッツは出てくるものの、いわゆる酒の「肴」がないこと。ワインはやはり、アントレ、メイン、チーズという食事の流れを追っていく脇役に過ぎない。たまには、ワインを主役にして、量は少なくていいけれど、いろんな味をつまみたくなってしまう。「アントレだけをあれやこれやとりながらワインを飲める店があったらいいなあ」と考える日本人は多いはずだ。
最近、生ハム、タコ酢、エビ炒めといったタパスをつまめるスペイン風の飲み屋さんがパリで流行っているのは、フランス人の間にもこんな欲求不満があるからに違いない。ワインバーが人を集めているのも、大げさな食事をしなくても、ソーシソンの盛り合わせやチーズを頼むだけで自由にワインを楽しむことができるからだろう。
そこで今回の特集は、ワイン (シャンパン、パスティス、ビール、お酒…) の味を引き立ててくれる「肴」たちをいろいろと集めてみた。フランス料理中心だが、素早くできるもの、冷蔵庫に数日間置いておいて好きな時に出せるものと、早く飲みたくてしょうがない飲んべえの気持ちを大切にしながら選んだ「肴」たちだ。(真)