離婚 “終身給付” の廃止へ。


 フランスには1975年以来、離婚時に相手に要求できる補償給付 (prestation compensatoire) がある。ナポレオン法に基づく、先夫が先妻に毎月仕送りする従来の扶養給付金 (pension alimentaire) に加えて、離婚によって当事者間に生ずる経済的不均衡是正のために、25年前に発布されたのが補償給付法。
 2月23日、国民議会は緊急事項として補償給付改革案を満場一致で採択。上院でも2年前にすでに採決されている。
 離婚した女性のうちの約14%が一時金あるいは終身給付(rente viagère)の形で先夫から補償給付を受けている。先妻が再婚した後も給付は維持され、先夫が再婚後失業したり死亡した場合は後妻の義務となり、さらに後妻の死後は相続人が債務を引き継がなければならない。離婚したら最後、冥途の果てまで先妻への債務から逃れられないでいる”先夫族”は現在、約20万人にのぼるといわれる。
 ある会社の幹部が秘書と結婚したが、離婚後、彼女の方は同じ会社の社長と結ばれる。先夫は社長夫人となった先妻に給付金を支払い続けるが、数年後事故により障害年金生活者に。補償給付は”債務者が最悪の事態に陥らない限り”、額の変更も解消も不可能だが、このケースではさすがの破毀院も先夫に同情し終身給付金を月8000Fから4000Fに半減させる異例の判決を下した。また、ある男性は86年に離婚して以来、1300Fの給付金を先妻に送っていたが、97年に失業し送金を停止したため懲役2年と10万フランの罰金刑に処された。それだけではない、夫と先・後妻との険悪な三角関係に加えて、先妻との間にできた息子は、金持ちと再婚しながら父親から金を取り立てる母親とは絶交し、娘の方は法律を盾に母親側につき、家族同士、怨恨のつのる家庭内悲劇に陥っている。
 改革案は、離婚後も債務者につきまとう終身給付を、債権者が高齢または病身だった場合にだけ有効とし、できるだけ一時金を一般化させる方向に。しかし、税制面で終身給付は債務者の所得申告から差し引かれるのに対し、一時金にはそうした利点はない。また一時払いが困難な場合は8年間の分割、またはそれ以上も可能に。そして債務者またはその相続人の経済状況によって給付額は見直される。しかし、現行法で一番問題になっている相続人への債務引継ぎや、先妻の再婚後の給付は維持される。それでも、改革案が年内に最終採決され施行されれば、先夫たち、その相続人たちがどっと家事調停委員会に押し寄せることだろう。
 女性の自立が叫ばれて久しい。でも先夫への復讐は死ぬまで ? 数回離婚したら複数の先夫から終身”年金”をとってやる? それを可能にした補償給付は今や時代錯誤といわざるをえない。離縁した亭主の厄介になるなんて現代女性のコケンにかかわる、といえるときに初めて経済・社会的にも男と平等になれるのでは。(君)


補償給付 (’96)
13.7% 補償給付適用率
97% 男性債務者(約20万人)
20% 補償給付の一時払い
61% 補償給付の月払い
31% 月払いのうちの終身給付
63% 期限付き月払い
203 403F 一時金平均額
2 088F 月払い平均額
*Libération : 2000/2/23