今月のプログラムでは、次の新旧対照的な二つのコンサートに注目したい。 ★★★ Marc Ogeret “Amour – Revolte” ルノーの自動車工場で働いたことのあるマルク・オジュレは、現存のシャンソン歌手の中でもアラゴンの詩を歌わせたら右に出る者がいないベテラン歌手。耳の肥えたファンでも唸ってしまう素晴らしい美声でアラゴン=レオ・フェレ集を中心に歌う。詩を重んじる伝統的なシャンソンの真髄に、思う存分触れるチャンスだ。聞き逃せません。 ヘアーがライオンのたてがみスタイルのコリーヌ・ミリアンがステージに現れただけで、会場全体がただならぬ気配に包まれ、聴衆は悲鳴をあげる余裕もなく彼女の催眠術にかかってしまう。彼女のおどろおどろした狂気のステージに一度はまったら、さあ大変。興奮を求めるファンたちは、毎日、彼女のコンサートへ足を運ぶことになりかねない。 炸裂するエレキ・ギターの騒音をかき消すような金属音に似た強靭な彼女の声が、一瞬の閃光となって天と地の間を猛ダッシュで突き抜けていく。こんなオカルト的な歌手の存在を知って、シャンソンが今まで以上に楽しくなった。 洗練ロック:My Bloody Valentin、 Katerine、 Solex などによる Remix を含めたお得な二枚組 ” Yeah ! and Remixed by ” を出した、The Little Rabbits はこれからが大いに期待されるバンドだ。 ラップ:Mc Janikのデビューアルバム”Janik” は Doc Gyneco系、スチャダラパ系の気持ちのいいラップ。 おまけ:Cornelius の仏市場進出に続いて Kahimi Karie がUSのレーベルから出したベスト版 “Kahimi Karie” がフランスにやってきた。「Tokyo Eyes」のひなのちゃんの声に耐えられなかったフランス人に聞かせてあげましょう。(岳) コンゴのリンガラミュージック界で女性にいちばん人気があるのはだ~れ?甘いテノールが切ないオロミデで~す。 7日 / Le Zenith ●ドクター・ジョン+オル・ダラ ニューオーリーンズ風アーシーなピアノでは並ぶ者がないドクター・ジョン。O・ダラのブルースも油断できない。 9日 / La Cigale ● スティーヴ・コールマン & 5エレメンツ一つの生き物のように自在にスウィングする彼らの演奏は今が頂点。コールマンのアルトサックスは脳髄を直撃する。 11日 / La Cigale ● オルケスタ・アラゴン キューバのベテラン楽団。NYのキンキラなサルサとはちがった味わい。21日 / La Cigale ● セザリア・エヴォラ カボヴェルデ島の哀愁を巨体に込めて。 ● NTM どんどん軟弱になってきているラップ界で、相変わらず荒々しく、手ごわいメッセージを聴かせてくれる NTM。彼らのライブはすごい。 25日 / Le Zenith ● シェブ・マミ ライの歌手の中で若い女性だけでなく中年の女性にも人気があるのはだ~れ?シェブ・マミで~す。やはりテノールです。 25~28日 / La Cigale ● サンクレール ブラックな R&B やファンクを上手に料理して、楽しいフレンチポップスにしてしまうサンクレールは才人だ。 26日 / Le Zenith ● Placebo 女?男?と迷ってしまう妖艶な歌手ブライアン・モルコーの歌には催眠効果。彼らの2枚目のCD “Without you I’m nothing”も傑作。27日 / Le Bataclan |