『La Maman 』と名付けられたリンゴの花のエナメル(七宝)の彫刻。生まれたばかりの子どもを抱く温かいカーブが、抽象的なフォルムの中に、リアルな感動を呼び起こす。
彫刻家ベネディクト・エニクスは芸術家の両親の影響を受け、17歳でナンシー・オペラ座のダンサーとして活躍後、パリで、ダンサー、アーティストとして、新しい境地を開く。キュビスム運動の彫刻家オシップ・ザッキンとコラボレーションしていた彫刻家、アルベルト・カリスキーとの出会いが、エニクスを彫刻への道に導く。彼女が数週間かかって作り上げた彫刻を、「良くできているけれど、もっと良くなる」と床に投げるカリスキーの厳しさが、現在のエニクスの創作への思いに反映されている。
1798年フランス北東のロンウィLongwyに設立された陶器工房〈Emaux de Longwy〉は、ナポレオン1世の食器、化粧品の器として用達された。1870年以降は、オリエンタリズムの影響を受け、真鍮の線が黒七宝の線描に変えられるなどの技術が投入され、〈Emaux de Longwy〉 のエナメル磁器の第一歩となる。〈Emaux de Longwy〉のあるロレーヌ地方は、エニクスの故郷であり、エナメル磁器の伝統工芸は、彼女にとって大切なルーツである。そして、エニクスとのコラボレーションは〈Emaux de Longwy〉に新しい風を吹き込む。フレンチタッチ、伝統的アート、職人芸…が反映されたエニクスの彫刻は、アジアの国とのプロジェクトに向かう。(苗)
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