公開中の終末SF大作『Oblivion』で、ヒロインを務めているのがオルガ・キュリレンコだ。ミラ・ジョヴォヴィッチのように、フランスを経由して世界に羽ばたいた、美人輩出国、ウクライナが誇る女優である。
ウクライナ南東の港湾都市ベルジャーンシク出身。幼少時に両親が離婚し、教師の母のもとで貧しい環境で育った。13歳の時に休暇中のモスクワでスカウトされる。16歳で渡仏し、モデルとして活動を始める。2005年から自らの意志で映画界に進出。小川洋子原作・ディアーヌ・ベルトラン監督の『薬指の標本』では、初主演ながら腹の据わった大胆ヌードを披露。2008年には007シリーズ『慰めの報酬』でボンドガールに抜擢され、一躍注目を浴びる。2011年にはミハル・ボガニム監督の『故郷よ』に出演し、チェルノブイリ原発事故で運命が暗転する新婦を丁寧に演じた。オルガ自身が「この役を演じなければ」と使命感を感じ、自ら製作費を集めるため協力を惜しまなかった。
近作に巨匠テレンス・マリックの『A la Merveille』。作品そのものは観光CMと見まごう思わせぶりなイメージの洪水で、映画としては空虚であったが、オルガの圧倒的な美は存分に堪能できるだろう。現在は『Oblivion』で共演したトム・クルーズとの仲がもっぱらの話題だ。(瑞)