争ってることが虚しく バカバカしく思えてくる。

 まだ若いイスラエル軍の兵士たちが、「秩序回復」指令を受けてパレスチナ・ガザ地区に配属される。彼らがそこで体験したことは……? 
 銃を手に集団で入ってくる彼らに、武器をもたぬ地元住民たちは賢くすばしっこく必死の抵抗運動を繰り返す。狙いを定めて屋上から落とされた洗濯機の犠牲になる一人の兵士。仲間の兵士たちは、死にもの狂いで犯人を探すが煙に巻かれる。ここまでの追う者・追われる者の鬼ごっこ的シーンがすごく良く撮られていて、アクション映画なのかと思ってひき込まれて観ていると、急に映画のトーンが変わる。軍の威信にかけて犯人を割り出したいイスラエル側は、4人の兵士を洗濯機が落ちて来た家屋に駐屯させる。そこではパレスチナ人一家が、共犯だったかどうかは分からないが、普通の暮らしを営んでいる。まさに4人は他人の家に土足で上がり込むのである。兵士たちの方もどこか申し訳ない気持ちがあるようだ。映画は、基本的に何も起こらない状況で暇つぶしをしながら見張りをつづける4人の心理ドラマへと変化する。どうしても占領された側のパレスチナ人に肩入れして観てしまうのだが、この若き4人のイスラエル兵にも同情を抱く。ここがこの映画の才知。何のためにこんなことをしているのか? 争っていることが虚しくバカバカしく思えてくる。4人はそう感じているに違いないのだ。映画は、彼らと交代でこの地に送り込まれてくる新米兵士たちで終わる。ヤリブ・ホロヴィッツ監督『Rock The Casbah』はイスラエル映画。89年の第一次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)を背景にしているが、24年後の今も状況は同じ、いや悪化している。人間は愚かだと言わざるを得ない。(吉)

Rock the Casbah



 

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