ひと昔前に植草甚一という偉大な「東京の散歩者」がいたが、飽くことを知らない「パリの散歩者」といえば稲葉宏爾。彼の、『ガイドブックにないパリ案内』を全面的に改訂したこの一冊を読んだり、その写真を見たりしていると,よくもまあ、これだけ歩いたものだと感心してしまう。パリの街に投げかけられる著者の優しい視線。そしてそれが決して重くならないから、これだけ歩けるのかな? 著者の好きなギマールとル・コルビュジエも登場。帯の一文に「華やかなパリよりも、ふつうの人のいるパリ。そんなパリの隅っこを歩くと、新しいパリの顔がみえてくる」。さあ歩こう!(真)
阪急コミュニケーションズ発行。
1800円+税。