5月23日、欧州連合(EU)の非公式首脳会議が開催された。主要課題はギリシャ問題とユーロ共同債だ。会議後の公式会見では、ギリシャのユーロ圏残留が再確認されたが、水面下では同国のユーロ圏離脱が起きる可能性も考慮し、その準備も進められているという。ギリシャでは組閣ができなかったために総選挙のやり直しが6月17日に行われる。その結果を待ってから、ギリシャがEUの要請する緊縮財政策を実行できるかどうかが判断されるだろう。
この会議はオランド新大統領のEUデビューでもあったが、メルケル独首相らが反対するユーロ共同債を議題に上げることに成功した。ユーロ加盟国の財政赤字を共同で背負うことになるユーロ共同債発行は、欧州委員会、国際通貨基金(IMF)がかねて推進しているものの、経済成長にマイナスになる上に、財政危機にある国々が緊縮財政を推進することに逆行するとドイツ、オランダ、スウェーデンなどが反対している。この件については6月末の欧州首脳会議で再検討されるだろう。ユーロ圏にとって今年の夏は厳しい夏になりそうだ。(し)