5月6日に当選を決めたオランド新大統領は、勝利の歓喜に酔っている暇もなく、債務、財政赤字、欧州財政安定協定など、いずれも重要な緊急課題に取り組まなければならない。新大統領は選挙キャンペーン中、厳しい緊縮財政を強いる欧州財政安定協定に反発し、財政締め付けよりも経済成長を優先する方向での協定の見直しを公約した。サルコジ支持を公言していたメルケル独首相にとってオランド勝利はショックではあっただろうが、独首相はすぐにオランド氏を祝福し、大統領への正式就任後ただちにドイツに温かく迎えると発言した。しかし、独首相はすでに25カ国が署名した協定については交渉の余地はありえないと断言しており、2013年までに財政赤字を国内総生産の3%以内に抑えるという財政協定をフランスが遵守する条件で、「成長協定」の協議の可能性を示している。新大統領は大企業や富裕層への追加課税で歳入を増やし、中小企業への投資を振興し、雇用を促進すると公約しているが、財政赤字削減という足かせをはめられたなかで、どのような手腕を見せてくれるのだろうか。(し)