クリニャンクールの蚤の市でお馴染みのサントゥーアン市。今回出会ったマーク・ロパトさんはエンジニアとして日本で5年間働いた後フランスに帰国し、ここに越してきた。現在は日本語がペラペラのガイド兼ツアーコーディネイターである。「サントゥーアンはパリに近接していてパリと同様に便利。それでいてパリに存在しない近所付き合いが盛んなのが嬉しいし、これからもさらにその輪は広がりそう! ここで面白いのは、蚤の市のお陰でウィークデーが静かで週末は非常に賑わうというパリとは逆の現象なんだ」。また、近所にある「Mains d’Œuvres」という文化センターはサントゥーアンのコミュニティ的存在で、多様な文化活動の他、日本の「生協」に似た食品購入組織「AMAP」の活動も盛んに行われ、マークさんのお気に入りである。最も近い農家から季節の産物を消費しようというコンセプトで、仲介業者をいっさい省き会員制。そして料金前払いのシステムは、農家に資金を与えて保護する役目がある。参加者は品質の良い食品を消費しながら地元農家を助けることに非常に満足しているし、配送システムを通して地元民と交流できるのも非常に楽しいとマークさん。
蚤の市はマークさんの散歩コースである。買物目的ではなくフラッと出かける。蚤の市の中にはいくつもの市があるわけだが、毎回訪れる度に新たなお店を発見する。心ときめくモノとの出会いに衝動買いも日常茶飯事だそうだ。また、骨董から70年代とお洒落なインテリアショップも豊富なことから、自宅用にインテリアコーディネイトのアイデアをもらってくるという。
ガイド兼ツアーコーディネイターのマークさんに蚤の市を案内してもらうと、今まで何度も来たことがあるのにずいぶんと違った顔を見ることができた。また、クリニャンクール蚤の市の発祥についても興味深い説明をしてくれた。「もちろんパリだけでなく、フランス各地の魅力も存分に案内できますよ! 」と彼。(久)