5月半ばからドイツで発生した腸管出血性大腸菌O104/H4感染事件は、欧州の野菜生産者に大きな打撃を与えている。5月末になって感染源としてスペイン南部産キュウリが疑われた同国では、ほとんどすべての野菜・果物が敬遠され、1週間で計2億ユーロ(キュウリだけで7500万ユーロ)の損害が出たという。スペインは欧州最大の野菜供給国であるから、その影響は甚大だ。欧州への野菜輸出国であるフランスもその影響を受け、仏野菜生産者組合によると、5月末〜6月初めの1週間だけで、キュウリ生産者が150万ユーロ、トマト生産者が330万ユーロの損害を受けた。とくにドイツ当局が消費を控えるよう呼びかけた、生食用のキュウリ、トマト、サラダ菜などの消費が落ち込み、ランジス市場でも同時期、サラダ菜が20%、キュウリは80%も取引量が減少。欧州委員会は7日、欧州内の野菜生産者に対して計1億5000万ユーロの援助を決めたが、感染源がいまだ特定されていないことで野菜不安がまだしばらく続く可能性があり、この突然の災難による生産者の苦境は長引きそうな気配だ。(し)