フランスのテレビ界でも料理番組が花盛り。France 3の『Côté cuisine』、Arte の『Cuisines desterroirs』、Direct 8(地上デジタル放送TNT で観られるようになった)の『A vos fourchettes』…。
中でも人気はM6の『Top chef』。この番組、毎年数カ月続くが、レストランの調理場で働いている30歳前後の若いシェフ10数人が料理の腕を振るい、有名シェフの厳しい審査を受けながら勝ち抜いていくというスタイル。とはいえ、毎週3時間を持たせるためのさまざまな趣向はある。限られた食材を使いながら1時間でメイン一品を作る。それも、なぜか全員数秒前まででき上がらずにハラハラさせる。最高級ホテルでそれぞれの指示に従った朝食を作り、客の舌に吟味される。立食パーティーのオードブルを短時間で仕上げる…。一番劇的な瞬間は、味見する審査員たちそれぞれのひと言(「味付けが薄い」、「焼き加減が足りない」、「歯ごたえがない」、「チャレンジ精神がある」などと意外にシンプル)。それを固唾をのんで聞き入っている料理人の表情がアップになる。料理記事を書いている(真)が不満なのは、どの「作品」もレストラン料理だけに見た目に重点がかかりすぎていること。M6にはこの番組の後押し番組ともいえる『Un dîner presque parfait』があり、ここでは料理好きの素人たちが腕を振るうのだが、「作品」はどう見ても『Top chef』のコピー。典型的な『豚の塩蔵肉とレンズ豆の煮込み』などは絶対に登場しない! テレビでは聴視者は匂いも味も想像するだけだから、これでいいのかな?(真)