猛暑、寒冬、集中豪雨。世界中で気象ニュースが飛び交うが、この冬大寒波に見舞われたフランスだって人ごとではない。というわけで今回はシャル
ル・ドゴール(ロワシー)空港整備地区内にある気象局の見学会に参加。フランス気象局は各県・海外県はもちろん、領有権を主張する南極アデリーランド地域
まで観測所を広く配置。ロワシーに観測所を構えるのは、航空交通に関する基準を定めたシカゴ条約に則り、国が気象局に空港業務を補助する任務を与えている
ためだ。
見学会ではスライドを使って天気予報の歴史や気象局の活動についての説明がある。特に見学者の関心を引いたのが衛星やレーダーなどから集めた膨大なデー
タを一挙に処理するスーパーコンピューター。こちらは気象局の中枢機能が置かれているトゥールーズ本部にある。60年前は一日の予報に一カ月以上かかった
が、現在はこの素晴らしい人工頭脳が一秒間に30兆近くの計算を処理するのであっという間。これまでNECや富士通など日本製が活躍してきたというから誇
らしい。
質問タイムでは少々意地悪な質問を投げかけてみる。03年の猛暑で多くの老人が命を落としたが、気象局からの注意喚起が足りなかったのでは…?「あの猛
暑は長さと激しさにおいて極めて例外的なことだった。もともと国内の北半分には冷房があまり完備されていず、気付いた時には遅かった。しかし以後は老人
ホームなど抵抗力の弱い人が集う場所に冷房完備の徹底を促した」とのこと。そういえば多くのレストランで〈冷房完備〉の表記があることに、「わざわざ言う
ことか?」と日ごろ違和感があったが、フランスではかなり自慢できることなのだ。今後はもっと大目に見たいもの。これからも蓄積した教訓を積極的に生かし
て私たちに有益な情報を届けてほしい。異常気象の不安がぬぐえない昨今、気象局の働きにますます期待がかかっているのだ。(瑞)
フランス気象局 —スーパーコンピューターは日本製。
メテオ・フランス(気象局)は運輸省の管轄。
3日前位の予報はほぼ正確。9日位前の予報から外れやすくなるとか。
懐かしの百葉箱も展示されている。
次々に飛行機が離陸していく。