経済協力開発機構(OECD)が3年毎に行う各国の15歳の生徒を対象とした学習到達度調査(PISA)の結果が9月8日に公表された。フランスは20年来最悪の結果になったとして政界やメディアがさかんに取り上げた。

2000年から原則3年毎に行われるこの調査は、2025年は、91ヵ国、ほぼ義務教育を終える年齢の15歳の約76万人の生徒を対象に実施された。読解力、数学的リテラシー(知識の理解とその活用能力)、科学的リテラシーの3部門のテストがあり、各国の点数は、全参加国の平均点が500点になるように計算される。
フランスは数学が458点で前回調査の2022年より16点低く、2018年比では30点低い。科学は483点で、06年に比べるとマイナス12点、読解力は456点で、2018年比マイナス40点。OECD加盟38ヵ国も同様の低下傾向にある。上位はシンガポール、中国、台湾、日本、韓国などアジア諸国が占めた。
依然とのこる性差
OECDの教育部門の分析官によると、フランスは、たとえば数学では学習の問題がある生徒の割合がPISAのテストで36%に達し、逆に、優秀な生徒の割合はわずか5%(2003年は15%)に減少してレベルが押し下げられたとする。また、社会階層による生徒の成績の差も依然としてOECD諸国のなかで最も大きく、社会階層の比較的高い生徒が多く進学する普通高校の生徒は欧州の上位国(英国など)に匹敵する点数を上げるが、社会階層の低い生徒が多い職業高校の生徒は点数が非常に低い。
また、女子と男子は科学ではほぼ同等だが、読解力では女子が高く、数学では男子が高い、という性差も依然として存在する。さらに分析官は、フランスでは高校1年に匹敵する15歳は、ちょうど中学入学時にコロナ禍があったことで学習に支障が生じたことも一要因と分析。また、この年齢の生徒は長期休暇以外の平日は1日4.9時間をタブレットやスマホを見ることに費やし、それにより勉強時間が削られていることも一因とされる。
そのほか、子どもの学業や学校生活に対する親の関心が低下傾向にあること、授業を邪魔する生徒や雑音が多いこと(47%の生徒が体験したと回答)、教員の不足などフランスで顕著とされる問題も指摘された。
教育再建
エドゥアール・ジェフレ教育相は「この結果は懸念すべきだが、驚きではない。中学校教育の向上策をもっと早くに考えるべきだった」と述べた。教育省はPISA 2025の結果について、OECD諸国に共通の成績悪化に対し教育を再建するという文書を発表し、SNS画面を見る時間を減らす方策、学習成果の低い中学や職業高校への個別対応、教員の研修強化などを挙げてPISAの成績でOECD諸国のトップに上がることを目標を掲げている。
PISA2025の結果については、政治家や仏メディアからは「フランスの凋落」といった論調のコメントや懸念が目立った。極右国民連合のルペン氏はPISAの結果は家族、経済、政府にとっての「失敗」、アタル元首相(マクロン政権で教育相も務めてた)「生徒の衰退は国の衰退」とした。
ルタイヨー共和党総裁は「(PISAの)破滅的結果を修復するには教育の文化革命が必要」とぶち上げ、選別せずにすべての生徒を受け入れる現在の中学校制度をやめて進路別コースを設けることを提案。当然ながら来春の大統領選挙の候補者はあらゆる話題を選挙に利用することにやぶさかではないようだ。(し)
