消防救急隊員の9つの主要組合が、9月8日から、予算、設備・装備品、人員の増強を求めて6週間のストライキを行っている。緊急時の救助活動に影響は出ないが、消防救急隊向けの予算増が含まれるはずの来年度予算案の審議が始まる10月20日までストを継続する意向だ。
今年の夏は異常な猛暑と乾燥のため、大規模な森林火災が頻発。南西部のジロンド県で4.2万ha、南仏ヴァール県で6000haを焼失した火災など、全国で計12万haを焼失した。とくに7月末には32ヵ所で火災が同時進行し、消防救急隊員にとっては過酷な夏となった。こうした火災で消防士4人が死亡したほか、全体で昨年の倍に上る数十名が負傷。消防救急隊員組合は、消防士は適切な防護服や装備品なしに煙や炎にさらされ、事後の医療ケアも不十分だったとし、有毒・発がん物質にさらされる隊員の健康と安全を守る措置を強化することを求めた。

しかも消防救急隊は火事ばかりでなく、人命救助、急病人・怪我人の搬送などの役目も負う。たとえば2025年には全国で合計489万件の出動があった。これは1日あたり1.3万件で、年間360万件の20年前に比べると、気候変動(猛暑)や社会の高齢化の影響もあって35%も増加している。だが、人員や予算は変わっていないと消防救急隊組合は不満を訴えている。
また、内務省によると、2025年末時点の隊員25万8641人のうち、職業隊員および軍人は5万7680人で、残り20万961人(78%)はボランティアだ。職業隊員は県の職員だが、ボランティア隊員は通常は別の職業を持ち、出動実績に応じて手当を支給される。各県の火事・救急課(SDIS)の予算の合計60億€のうち50億€は県や市町村などの地方公共団体がまかなっており、地方によって予算に開きがある。組合はそうした開きを是正するためにも国が県に資金を支給すべきとしており、2.1万人の職業隊員の雇用増も求めている。
消防救急隊員の組合は8月13日にもデモを行い、ニュニェーズ内相との会見が実現したが、組合は内相からは何ら具体的な回答は得られなかったと強い失望を露わにした。そのうえ9月8日に内務省から消防救急刷新法案の一部の説明を受けたが、全く満足のいくものではなかったと不満を募らせている。
この夏の多数の火災では大きな火事と闘う「消防士は英雄だ」という声が政治家やメディアなどから上がったが、消防士たち自身は「英雄という言葉で現実を隠蔽してほしくない」と反論した。個人の英雄的行為をクローズアップして終わらせるのではなく、将来のより厳しい状況を見すえ、すべての隊員にとってより安全な労働環境を構築していくべきだろう。(し)
