
フランス経済財務省税務総局は8月13日、70万件規模の個人・企業の税務情報がサイバー攻撃にあって漏洩(ろうえい)したことを明らかにした。「ZeroBytes」という2人組のハッカーが犯行声明を出し、盗んだデータを売ったとしている。政府機関が持つ個人情報の大量漏洩に政府の情報セキュリティの甘さが批判されている。
税務総局は、約67万8000件の個人・企業の税務情報が6月末と7月末にサイバー攻撃にあって漏洩したことを明らかにした。税務総局が17日以降、該当する個人・企業に送ったメールによると、ハッカーは税務総局職員らのIDを盗んで情報にアクセスした。漏洩したのは納税者の氏名、住所、税務番号、電話番号、年収、税率や税務当局とやり取りしたメッセージなどで、そのアクセスはすみやかに遮断されたという。マイページに進むパスワードや税申告書、所得税通知書などは漏れていないとし、該当者には今後フィッシング詐欺や身元詐称被害への注意を喚起した。そのほかにも約20万件の土地台帳データや相続関係の情報も漏れたことが判明した。パリ検察局が捜査を開始したが、ハッカーたちは現時点では特定されていない。
ダヴィッド・アミエル経済財務相は18日、今回の情報漏洩について「国への信頼を揺るがす重大案件」と謝罪し、情報の安全管理面で遅れていると認めざるを得ないと発言。税務総局職員の2段階認証の導入を加速化するといった緊急対策や、職員のサイバー教育の強化などの行動計画を実施する方針を明らかにした。税務総局の職員5300人のうち約100人がサイバーセキュリティにあたっているが、昨年度は6972件のサイバー攻撃があったという。ルコルニュ首相は17日、関係各省と危機対策会合を持ち、国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)にデータ漏洩の原因と状況を精査するよう指示した。また、首相は19日、ANSSIにサイバー攻撃に迅速に対応できる新たなグループを創設するよう要請した。
教育省のデータも被害に。
今回のデータ漏洩に対し、財務省の労組はサイバー攻撃防止のための人員や予算の増強を緊急に求めた。社会党上院議員らは、国が公共サービスに対する国民の信頼を失ったこの状況を「大災害」と非難し、税務総局の情報システムの安全性を強化する対策の詳細の説明を求めている。
犯行声明を出したZeroBytesは18日、数週間前に教育省からも数百万人の児童・生徒や数万人の教師の情報を入手したとした。児童・生徒の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、教師による評価など。教育省は7月の声明では省の職員の情報が漏洩したと言明していたが、この犯行声明を受けて生徒や教師の情報も漏洩していたか否かを調査し、漏洩が確認されれば該当者に連絡すると約束した。
今年4月には、身分証明書、パスポート、運転免許証などを発行する国の証明書発行局が大規模なサイバー攻撃を受け、1200万件の個人情報が漏洩した事件も起きた。今後ますますサイバーセキュリティの要請は高まっていきそうで、政府の迅速な対応が求められている。(し)
