
Appel des 1000
来年の大統領選挙に向けて、フランス文化界は闘争モードになっている。メディア、出版、映画界に続いて音楽関係者が、極右が政権をとった際に表現の自由が失われる危険性を「千人の呼びかけ」として政治月刊誌「Politis」に掲載した。
4月にも南フランスでは、極右RN党の市長に補助金をカットされたジャズフェスティバルが中止を余儀なくされ、他の町でも、ある難民の物語を描いた『Passeport』という演劇の上演が、RN党市長と市議会によりプログラムから外された。極右が市政を握る都市ではすでに政権に都合の悪いものを排除する「粛清」が行われている。今から連帯し、皆で言論と音楽そのものを守ろう、という呼びかけだ。
文化にとって危険なのは極右だけではない。現政権も「フリー・パーティー」(地方の広大な空き地で無許可でテクノ音楽のパーティー)に対して規制を設け、開催者には最高2年間の禁固刑、最高3万ユーロの罰金などを科す法案が提出され審議されている。これは、音楽のさまざまなジャンルのヒエラルキーをつくり、例えばラップ、テクノ、民族音楽などの音楽を低級とし、それらに対する締め付けるという傾向のひとつの具体的な例だ。行政手続きを経て、決められたホールのなかで演奏されるものだけが音楽で、それをお金を払って聞かないといけないのか?音楽はそんなものではないはずだ、というのが言い分だ。
フランスのメディアや出版、映画分野で、制作から流通、販売網までを数人の超保守系富豪が掌握していることはオヴニーでも何度も触れたが、音楽界でもレコード会社、プラットフォーム、ホールなどで同じような集中がみられるという。よびかけ人たちは「Cultures Futures(文化・未来)」という集団を結成し、集中を分散させることや、スタジアムや大ホールでの公演だけでなく社会のなかに入ってゆき、人とのつながりを作るような音楽活動のあり方、ツアーの移動の仕方ほか、これからの社会の行方を見据えた活動なども呼びかけている。千人の呼びかけは、現在、1800人ほどの関係者が署名済みだ。
