新型コロナウイルスの感染状況を示す数値が悪化し始めていることを受け、フランス政府は7月20日、屋内の店舗や公共の場でのマスクの着用を義務化した。対象は11歳以上。違反者には135ユーロの罰金が科される。ほかにもコロナウイルス検査が処方箋なしで受けられるようにするなど、国は対策を加速させている。
マスク着用の対象となるのは、公的施設、店舗、銀行、宗教・宿泊施設、屋根付きの市場など屋内の公共の場すべて。すでに義務化されていた公共交通機関や教育施設などでも着用義務は継続する。
感染状況を示す数値は、7月中旬からわずかに悪化の兆しを見せていたが、保健省は24日「ウイルス感染は明らかに増加している」と声明を出した。患者一人が感染させる人数を示す数値「R値」は7月1日は1.01だったが、27日には1.3となった。また一日に感染が確認された人数が、23、24の両日1000人を超え、「外出禁止令が解除される直前の時期のレベル」となり、外出禁止令での効果の「大部分が消えてしまった」としている。27日時点でクラスターは223件が進行中。5655人が入院中で、うち374人が集中治療中だが、この2種の数値はまだ増加傾向にはない。死者数の累計は3万209人となった。
この状況を受け、政府は外出禁止令の再発令計画を策定した。メディアによると、計画は状況の程度に合わせ4段階。市町村、県など発令地域を限定し、移動や集会などに段階的に制限をかける。最悪の場合3月と同様、全国に発令するが、社会経済的な影響が大きいため、国は何としても避けたい考え。
第二波が本格的に発生する前に蔓延を食い止めようと、国は検査数の拡大を進め、26日からは処方箋なしでも健康保険から払い戻される検査を受けられるようにした。25日からは介護士や消防士などもPCR検査を実施できるようにしたが、やはり検査を行う施設が対応しきれず、予約を取るのに時間がかかり「渋滞」している状況だ。また夏のバカンスシーズンで人の往来が増えるなか、感染が特に広がっている米国やブラジルなど16ヵ国から到着した人全員に、8月からシャルル・ド・ゴール空港で、コロナ検査を実施すると首相が発表した。第一波で学んだ教訓を生かせるか、手腕が問われている(重)。