国が株の半分強を所有するパリ空港公団(ADPグループ)は、パリ郊外のシャルル・ドゴール空港に第4ターミナルを作ることを計画している。ADPは2037年には旅客数が1億700万人〜1億 2千6百万人に達し、受け入れ態勢が不十分になると予測する。集客力を高めているドバイなど外国の空港に対抗し、国際的な競争力を高める目的もある。旅行者数が頭打ちとなりフランス経済が停滞する可能性があるのも増設理由だ。
そんな中、1月10日、イル・ド・フランス地域圏の60の自治体の首長たちが、「第4ターミナル建設計画中止」をマクロン大統領に訴える手紙を送った。サンドニ、アンガン・レ・バン、ナンテールなどの市長が、右派左派を問わず結集した。反対する最大の理由は騒音と、飛行機が排出する有害物質が引き起こす大気汚染だ。今でさえ自治体の上を飛び交う飛行機に悩まされているのに、ターミナルを増設すれば1日に500便が増え、空の交通量は4割増す。市長たちは、マクロン氏が昨年9月、国連の演説で語った「温暖化と闘うと言いつつ二酸化炭素を大量に排出する計画に投資するのは矛盾する」の言葉を実行してほしいと要求している。要望書を送った後もパリ市、ヴァル・ド・マルヌ県などが共同戦線に加わった。賛同する自治体は増えつつある。(羽)