Cinéma au temps du corona
自宅待機は5月11日まで延長された。とはいえ映画館の再開はいつになるか、先が見えない状況だ。映画業界が打撃を受けるなか、国立映画センター(CNC)は特例措置を発動へ。公開中止となったり公開を目前に控えていた作品は、直接VOD(ビデオ・オン・デマンド)配信が可能となった。フランスは通常、興行者や製作者の利益を守るため、劇場公開から4カ月待たないとVOD配信ができない。このルールが緊急措置で一時的に停止されたのだ。この措置を利用したい作品は、劇場配給で得られた助成金もCNCに返さなくてよい。
ただし、たとえVOD配信ができても、劇場公開に比べ配給会社が回収できるお金は少ない(約5€のVOD視聴料のうち配給に入るのは1.70€)。そのため、劇場でヒットを見込める作品にとってVODはさほど魅力がない。大作が延期してでも劇場公開を狙うのは自然な流れだろう。仏映画でも公開後すぐに停止に追い込まれた『Un Fils』や『La Bonne épouse』などはVODを経ずに劇場再公開を目指している。
一方、VOD配信措置はドキュメンタリーに向いている。いち早くVOD配信を決めたのは、リシャール・コパン監督の『Monsieur Deligny, vagabond efficace』。自閉症の子の教育者であり、かつトリュフォーと深い交流を持った映画人フェルナン・ドゥリニィについての記録(写真)。本作は映画会社Shellacの公式サイトと、VODプラットフォーム「La Toile」で鑑賞できる(料金は各4€だが、視聴可能の期間が異なる)。La Toileは映画館と観客を結びつけるVOD専用のプラットフォームだ。本サイトを経由すれば映画館にもお金が入る。2017年に誕生したが、自宅待機発令後は参加する映画館が急増した。例えばパリ在住者が『Monsieur Deligny』を見る場合、8区のLeBalzacや14区のL’Entrepôtなどから応援したい映画館を一つ選ぶ。しかし、どこも頑張ってほしいから一つ選ぶのは難しい!(瑞)
『Monsieur Deligny, vagabond efficace』を見るには
→製作・配給会社Shellacの公式サイト
https://vod-store.shellac-altern.org
→VODプラットホーム「La Toile」
www.la-toile-vod.com