マクロン経済相、辞任。各陣営、大統領選に向け活動本格化。
社会党内閣の「右寄り」経済相の辞任。
36歳の若さで民間登用され注目を浴びたエマニュエル・マクロン経済産業デジタル相が8月30日、辞任を表明した。来年5月の大統領選への出馬準備とみられる。人気の経済相の辞任で、政権がさらに求心力を欠くのは確実だ。最大野党の右派共和党では22日、サルコジ前大統領が大統領選の右派統一候補を決める予備投票への出馬を表明。大統領選に向けた活動が本格化している。
マクロン氏は、投資銀行に勤務した後、2014年に閣僚として抜擢された。一部小売店の日曜営業を解禁するなど規制緩和を進めてきた。従来の右派・左派の対立構図にとらわれない政治姿勢が、起業家や若手の管理職から共感を呼び、短期間で人気政治家の一人となった。一方、社会党政権の閣僚でありながら「右寄りすぎる」政策は、左派支持者の政権離れに拍車をかけた。
「来年からフランスを変革」宣言。
辞任にあたり、大統領選への出馬は明言しなかったが「来年からフランスを変革する」ことを決意したと話した。4月には「進め!/ En Marche!」と名付けた個人の政治運動を立ち上げ、閉塞した政界の変革を訴えており、大統領選へ立候補を目指しているとみられている。31日の新聞には「マクロン下船、オランドを攻撃」(ル・フィガロ)、 「マクロン自営業者に」(リベラシオン)などの見出しが躍った。
候補者乱立する左右陣営。
マクロン氏の辞任で、大統領選の左派の候補者選定は、より混沌としてきた。支持率が歴史的に低いオランド大統領は、12月まで進退を発表しない意向。マクロン氏の正式な出馬表明や、右派の候補者の選定結果によっては身を引く可能性もある。1月には左派候補者を選ぶ予備選挙が行われるが、マクロン氏や左派候補者の一部が、予備選挙に参加せず独自で立候補することもあり得る。
対する共和党は、党内予備選挙を11月に控え、各候補者が活動中。サルコジ前大統領が8月、予備選挙への出馬を表明したが、9月5日、前回の大統領選の選挙活動費を過少申告した疑惑で、検察はサルコジ氏に対する公判を請求した。予審判事の決定次第で立候補が事実上不可能になる可能性もある。最大のライバルは元首相のアラン・ジュペ氏で、世論調査では支持率はほぼ拮抗している。
すでに出馬を表明している極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首も、大規模集会を9月中旬に予定。大統領選まで8カ月を切り、候補者の旗は数多く上がっているが、不確定要素が多く、様相は混沌としている。 (重)