フランスにも刑務所コトバがある。parachutage(パラシュート落下)は「天下り」の意味でもよく使われるが、ムショ言葉では、塀の外から物資を投げて、内部の受刑者に届けることをいうそうだ。「promenade散歩」は、刑務所のなかで、中庭などの限られたスペースを歩くこと。
国営放送局フランス3のネット記事によると、9月17日、ルーアンの刑務所で珍しい「パラシュート落下」未遂があった。午後2時半ころ、看守が施設の周りをパトロールしていると、若者がふたり、周囲を警戒しつつお互いに目配せをしていた。ひとりは手に白いビニール袋を持っている。看守の姿を見たふたりは逃げ出したが、看守が追いつき身元を確認すると、ルーアンと近郊在住の19才。白いビニール袋のなかには、アルミホイルに包まれたケバブサンドイッチが5つ入っていたという。「プロムナード」中の誰かに差し入れをするつもりだったらしい。
この刑務所では3月にも、酒とタバコのパラシュート落下があった。この不法差し入れ防止のために刑務所側も塀の上に網を張ったり、パトロールを強化したりしているが、多くの施設の例に漏れず、受刑者の過密状態で人員不足(服役者80人につき看守1人)もたたり、挑戦者が後を絶たない。
一般的に、よくパラシュートされるのは携帯電話、ドラッグ、火炎瓶、刃物など。今回はケバブだが、肉やメルゲーズソーセージなどのケースもあるそうだ。
パラシュート失敗でケバブを食べ損ねた人たちも、はやく「娑婆」に出て、とびきりおいしいケバブを味わってほしいものだ。 (集)