国務院は2月5日、予約制配車サービスである運転手付観光車(VTC)の予約から客の乗車まで15分の猶予を今年1月から義務付けるデクレ(政令)を保留する決定を急速審理で下した。このデクレは、携帯電話のアプリケーションからも手軽に予約でき、待つ必要のないVTCビジネスの近年の隆盛がタクシー業界を脅かしているとして、同業界の強い働きかけで制定された。
いつでも客を拾えるタクシーと予約が前提のVTCの業務を区別するのが狙いだ。20万ユーロ以上する許可証の取得が必要な上に料金を規制されるタクシーに比べ、VTCはそうした規制を受けない。タクシー業界はこれを不公平として2012年からしばしば抗議運動を行い、VTCの予約から客の乗車まで1時間の猶予を義務付けるよう政府に求めた。
これを受けて政府が昨年12月に発布した上記のデクレに対し、自由な商業活動を妨害するとして、VTC事業を行う4社が1月10日に国務院に提訴。また昨年12月には自由競争監視当局もタクシー業界の独占を保護するとしてデクレに否定的意見を出していた。同デクレは行政裁判所が今年中に判決を下すまで保留となる。(し)