現在公開中のレベッカ・ズロトヴスキ監督の映画『Grand Central』で、原子力発電所の作業員に扮しているのがマグレブ系俳優タハール・ラヒムだ。はじめてフケ役に挑戦した『Le Passé』のヒットも記憶に新しい。
東部ベルフォール出身のアルジェリア系フランス人。中学時代から映画館に通い詰め。高校卒業後はコンピュータ関係の仕事を目指すが、興味が持てずにモンペリエとパリの大学で映画理論を学んだ。この時代の初々しいラヒムを、友人のシリル・メネガン監督は、中編ドキュ・フィクション『学生タハール』で捉えている。メネガンは昨年度のセザール最優秀初監督賞を受賞した実力派。ラヒムとは再びタッグを組むはずだ。
2009年には、ジャック・オディアール監督の『預言者』で主演に抜擢。若き孤独な成り上がりギャング役でセザール賞主演男優賞と新人賞をW受賞した。その後もイギリス、中国、ベルギー、イランなど多彩な国の監督のもとで活躍。現在もトルコ系ドイツ人ファティ・アキン監督の新作が待機中だ。
個人的には彼の無邪気な笑顔が可愛いと思っているが、映画では暗い役ばかりなのが残念。私生活では『預言者』で共演のアルジェリア系女優レイラ・ベグディと入籍済みとの噂。だが私生活は売り物にせず、着実に愛を育んでいるようだ。(瑞)