ジュエリーデザイナーのベジュー・ナオさんは在仏10年。日本でジュエリーのディプロマを取得後、グラヴュール(ジュエリーの西洋彫り)を学ぶためにパリにやってきて、偶然見つけたアパルトマンは9区カデ地区ベルフォン通り。元々ユダヤ系ジュエリー技師のアトリエが多い地区であった。地域のつながりが非常に強く、住民や商店の人たちが皆感じよい、自分のことを覚えてくれる気にしてくれる、そんな好印象のところであった。ナオさんはその後何度か引っ越してカデ地区を離れるのだが、数年前よりまたこの地区に戻って住んでいる。やはり強い縁があって引き戻されたのだろう。
そもそもご主人と知り合ったのもカデに住んだのがきっかけ。ご主人は最初のアパルトマン上階の隣人だったそうだ。ジュエリー学校の生徒だった当時は近所のジュエリーのアトリエをのぞいているうちにアルメニア出身の技師ステファンさんと親しくなる。自宅にアトリエはあるのだが、道具が足りない時や、アドバイスを受けに、または相談をしたりと繁く足を運ぶようになり、彼とも10年来の付き合いである。「ナオはとっても熱心にジュエリーをつくるし、良い素質をもっているから僕は心から応援しているんだ」と熱い言葉を送ってくれる、頼もしい父親のような、師匠のような大切な存在の彼。こんな人が地元にいて背中を押してくれるって何て恵まれていることだろうか。6歳の息子さんの幼稚園送迎の道は、ステファンさんのアトリエの前を通り、カデの商店街を通り、パッサージュ・ヴェルドーを通る大のお気に入り徒歩コース。お店の人たちが「きょうも元気?」とナオさんと息子に声をかけてくれるのが心地よいという。
ナオさんのジュエリーはオーダーメイド主流で現在個展の準備中。今後はブティックでも売られる予定。今気にしている素材「地赤珊瑚」を求め、先日は土佐まで行ってきたらしい。少女のように純粋な眼差しの彼女。作品にもその無垢な世界が反映されていると感じた。(久)
●Le Caviste Bio
モーブージュ通りにはカヴィストやワインバーがどんどん増えてきているがその中でもナオさんのお気に入りはここ。名前の通り有機ワイン&料理のお店。店主ドミニクさんセレクトの自然派ワインとブリストルのビストロで腕を磨いた日本人女性ジュンコさんの料理で迎える。
15h-23h。 土曜はランチもあり。日休。
50 rue de Maubeuge 9e 01.4878.3003
●Yoom
香港在住だったフランス人オーナーカップルが、パリになかったお洒落な本格派飲茶店を! と開いた店。中国人シェフの料理をモダン&キッチュなインテリアで味わう。ナオさんの女子会に活躍の店。点心4.5€〜、ランチ14.9€。バリエーションのお皿の絵が可愛いので要チェック。
12h-14h30/20h-22h30。日月休。
20 rue des Martyrs 9e 01.5692.1910
● Les 36 Corneil
とても感じのよい3人のオーナーによるフレンチ・タパスの店。おいしいフレンチをタパス形式で小皿にサーブ、3皿12€、5皿15€とお手軽料金。音楽もかかっていてワイワイ楽しく美味しく過ごす一時にナオさんがやって来る店。平日も冬も道にお客が溢れる賑わいぶり。
10h〜翌02h頃。日月休。
36 rue de Rochechouart 9e 01.4878 .4255
ナオさんのアクセサリー。18Kハートの 指輪は面白い立体感がある。
Passage Verdeau
ステファン さんのアトリエで。
息子のエリオくんと。
ナオさんの作品は naouchka.com