フランス金融市場庁(AMF)懲罰委員会は7月1日、金融市場のルールを遵守せずにエルメス株を取得したとしてLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループに800万ユーロの罰金を支払うよう命じた。AMFが科した罰金としては史上最高額で、LVMHはこの決定に不服を申し立てる意向だ。
LVMHのエルメス株取得の経緯を2年以上かけて調査したAMFの報告書によると、LVMHは2001~02年に海外子会社を使ってエルメス株4.9%を取得。2007年からはやはり海外子会社を使って、外国の銀行の「エクイティ・スワップ」という金融派生商品の名目でエルメス株を各銀行に5%を超えない範囲で取得させ(フランス金融市場規則では5%以上の株式を持つと開示義務がある)、それをLVNHが買い受けるといったやり方で取得。2010年10月になってやっと17.1%を所有していることを公表した(現在は22.6%を保有)。AMFはエルメス株買収の事実を隠蔽するために開示義務を何度も怠ったとしてLVMHを厳しく非難している。一方、エルメス社側はLVMHによる株式取得を無効とするよう、6月中旬にパリ商事裁判所に提訴している。(し)