ヴァロー=ベルカセム政府報道官は3月21日、民間企業のトップの給与制限を促す法案を夏前に国会に提出すると発言した。もちろん、民間企業の給与を国が直接に制限することはできないため、北欧やスイスなどですでに採用されている、株主の権限拡大というやり方で間接的に制限するということになる。通常、重役の給与や退職金は取締役会で決められる。ところが、この法案が成立すると、株主総会の承認が必要になるため、経営陣の給与上昇に歯止めがかかるようになるという仕組みだ。
ちなみに、フランスの上場企業の上位40社(CAC40)の社長の平均給与は伸び続けており、2010年で年収400万ユーロ、2011年は420万ユーロ。リストラが相次ぐフランスでは、企業トップの高給に国民の反発が強まっている。政府は昨年6月には、国が大株主である公営企業の社長の給与を、15の公営企業の低給与層の平均額の20倍までに制限するというデクレを出している。公営企業に続いて、民間企業トップの高額給与にも制限を加えようとしているわけだが、順調に実現されるかどうか注目したい。(し)