流行の場所にならないでほしい。

サンランベール教会。

 

 「悪いところは浮かばない。ちょっと若い雰囲気には欠けるけど、家族で住むのに欠点にはならないから」。画家のパスカル・コンシニさんは、15区のヴォジラール駅界隈をとても気に入っている。
 彼女は絵画やリトグラフを制作するアーティスト。映画の装飾も生業にする。「画家一本でやっていけるなら、装飾の仕事はしないのだけれど。生活のためよ」と本音もポロリ。だがオファーは絶えなくて、最近はジャンヌ・モロー主演のイルマル・ラーク監督作『Une Estonienne à Paris』や、名カメラマンのキャロリーヌ・シャンプティエの監督作『Berthe Morisot』を担当した。端から見ると、とりわけ美意識が高いモローやシャンプティエといった重鎮との仕事は大変そうだが…?「プロ意識が高い人とはかえってやりやすい。特にモローさんは優しかった」とか。
 この界隈に越してきたのは偶然といえる。生粋のパリジェンヌの彼女だが、15区は長らく秘境の地。ところが新居を探している時、にわかに候補地として浮上したのだった。治安が良く、生活に必要な店、公園、学校、映画館、区役所が至近距離にある。週末は田舎暮らしをしたいから、高速道路に近いのも便利。また姉で、大の仲良しの女優アンヌさんの家が比較的近いのも決め手になった。
 引っ越しから12年が経ち、現在も夫と、美しく成長中の12歳と10歳の娘、一匹のトラ猫さんと一緒に住む。生まれ育った16区に似て落ち着いてはいるけれど、シックでもスノッブでもない。商店は多いが、消費を促す雰囲気もない。「ヴォジラールを選んで正解だった。このまま流行の場所にならないでほしい」。日曜には教会で祈りを捧げる人も多く、本質を大事にする人の町だとも感じる。家の目と鼻の先には、住民の心の糧となっているサンランベール教会がそびえる。45年前にフランソワ・トリュフォーの映画『黒衣の花嫁』で、花嫁姿のジャンヌ・モローが式を挙げた場所でもある。(瑞)

●Square Saint-Lambert
 1835年から20世紀初頭まであったガス工場の跡地を使い、1933年に開園した公園。2ヘクタールの広々とした敷地は木々に囲まれ、夏になると芝生はピクニックや日光浴の、家族やカップルで溢れかえる。砂場、卓球台、メリーゴウランド、人形劇ギニョールの劇場も完備。
2 rue Jean Formigé 15e
●Cinéma Chaplin Saint Lambert
 大きな映画館でうっかり良作を見逃しても大丈夫。ヴォジラールの住民には、チャップリン・サンランベール映画館という強い味方がいる。場所はサンランベール公園の目の前。質が高い良作を、日替わりプログラムで長めに上映している。子ども向け作品の上映にも力を注ぐ。
6 rue Peclet 15e
●Général Beuret
 ヴォジラール界隈ではかなり貴重な、「若さ」が感じられるカフェ。パスカルさんも気分転換に、夫や友だちとふらっと飲みにいく。店員もサンパだし、カフェ1.8€、ビール2.8€と値段も良心的だ。ランチや軽食も可。15h-2h 。無休 。
9 place du Général Beuret 15e
01.4250.2862

『Une Estonienne à Paris』用のデッサン。

『Une Estonienne à Paris』用のデッサン。

バカンスはもちろん親戚・家族が揃います。

バカンスはもちろん親戚・家族が揃います。

© Laetitia Masson

© Laetitia Masson

郊外にあるパスカルさんのアトリエで。

郊外にあるパスカルさんのアトリエで。

15区の区役所。

15区の区役所。

Vaugirard駅界隈(15区) 



 

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