経済危機に比較的よく耐えてきたフランスの食品業界がここにきて次々とリストラを発表している。10月末にはコカコーラの仏子会社が営業職など177の雇用削減を、11月に入ってからは牛乳のソディアール(「Candia」商標)が3つの牛乳調整工場閉鎖で313雇用、ジュース・菓子のアンドロースが76雇用、野菜缶詰、豚肉などのCECABが2工場閉鎖で308雇用の削減など、食品業界団体が11月16日に明らかにしたところによると、年末から2013〜14年にかけて合計5000の雇用が脅かされている。フランスの食品業界は全体で50万人を雇用し、年商は1500億ユーロ、輸出超過で外貨を稼ぐ優良業界だったはずだ。しかし、一次産品の値上げで原価が高騰するとともに、食品安全規制の強化による設備投資や人件費に出費が増えるなか、小売業界の値上げ抑制やマージン増加で経営が悪化している。しかも、商店を除いても85%が従業員20人以下の零細企業なので、ブラジル、中国など新興国との国際競争にも苦戦。農業省が乗り出すということだが、農産品輸出大国フランスの展望は厳しい。(し)