パリに咲き競うバラを訪ねて
●ロダン美術館の庭園
美術館は現在一部改修中だけれど、マロニエやカエデ、ポプラなどが並ぶ庭園では、いつもと変わらずブロンズや大理石の彫刻が迎えてくれる。春にはアヤメやアジサイが、初夏には、シャクヤクやバラが咲き誇り、そんな花を観賞するためにここに足を運ぶ人も少なくない。庭の脇のテラスには、サングラスをかけたパリジャンたちが、いかにも優雅に時間を過ごしている。
南のテラスには今年もバラ「ロダン」が咲き始めた。メイヤン社作出のこのバラからかすかな甘い香りが漂いはじめる頃、この庭園のベンチは恋人たちやバラを愛する人たちでいっぱいになる。西に置かれた「考える人」の彫刻のまわりには、大輪のバラが。夕日が沈むのは、ちょうど、エッフェル塔を背景にしたこの彫刻のあたりです。
●『薔薇をめぐるパリの旅』
バラの美しいこの季節にぴったりなのが、バラをキーワードに、パリの花屋、庭園、香水やスイーツ店などを紹介したこの本。著者は、この特集を担当したアトランさやか。バラに恋するスペシャリストたちのインタビューも豊富で、この花の特別な魅力にあらためて気付かされる。知る人ぞ知る小さな名店から、世界に名だたる有名店までを網羅しているので、この本を持ってパリを歩けば、いつもと違うパリの華麗で深遠な世界が開けそう。またプロヴァンやノルマンディー地方など、パリから日帰りで行けるバラ情報もおすすめ。
毎日新聞社刊。
1800円
朝市で見つけた バラたち。 一束10本で 10ユーロ。
パリの南郊外にある ライ・レ・ローズの バラ園。