「白と緑の組み合わせは、 エレガントでシック」
●アニー・ユジュロさん
本紙717号でも紹介されたフローラルアーティストのアニー・ユジュロさんは、自宅でオーダーメイドの作品を制作したり、少人数制のアトリエを開いている。2時間から2時間半のアトリエでは、様々なスタイルのブーケ制作はもちろん、花を使ったアクセサリやテーブルデコレーションまでをじっくり学べる。
90年代半ばから〈クリスチャン・トルチュ〉で仕事をしたアニーさん。オデオンの角にあったこの店の、野原や庭に生えている草花や果物、野菜などを使ったスタイルは、今でこそパリの花の王道のようになっているが、当時は新しく、異質で、特別なものだった。アニーさんは、その花の世界を振り返ってくれた。「白と緑の組み合わせは、エレガントでシック。初めて誰かの家に招かれた時、この組み合わせなら間違いない」「黒いパンジーは、他の色のものと違うテクスチャーなの。言葉で説明するのは難しいけど、どこかビロードみたいな感じがある」など、花と長い間関わってきた人ならではの言葉が、ぽろぽろとこぼれる。
そんな愛する花々のためにアニーさんが用意するのは、花瓶ではなくて、モードのアクセサリー。展示会などに足を運び、気にいったスタイルのカチューシャや手袋、帽子が見つかると、そこに同系色の花をあしらっていく。有名な服飾デザイナーや帽子デザイナーのもとで働いた過去の経験も生かしながら、あくまでも、彼女のオリジナルな美の世界をいつくしみ、一点一点作品づくりに取り込む。花、アクセサリー、デコレーション、お菓子などをじっと眺めては「すごく美しいと思う」と、時に情熱のこもった静かな口調で、時に少女のように少しはしゃぎながら繰り返す。
モードで着飾った彼女と、その審美眼で選ばれて集まったものに囲まれた空間で過ごすひとときは特別な時間。パリに憧れている乙女も、パリに圧倒されている乙女も、ここでは気持ちよくリラックスして美の世界を楽しめます。
www.chapeaumelon-paris.com
Photos : Fabrice Besse