日仏プレジャーボート事情。

フランス製プレジャーボートを輸入する 関口徹夫氏が語る

 クストー(1910-97)、マイヨール(1927-2001)と同じくらい有名なベネトウは、フランスのプレジャーボートの世界的なメーカー。6千人近い従業員を数え、年間5000隻を生産するベネトウ社の輸入総代理店社長を務めるのが、ファーストマリーンの関口徹夫氏。
 関口氏とベネトウ社とのご縁は、ブルターニュ・アイルランド・スペインを巡った1979年のオーロール・シングルハンド・ヨットレース(現在はフィガロ・シングルハンド)に始まる。日本代表の招待選手として招かれた関口氏は、ベネトウ社のファースト30という艇を選び、レースに出た。その後、日本にも代理店をと考えたベネトウ社が選んだのは、会社としての規模や組織より、関口氏の人柄であったという。1987年のことである。
 日本人とフランス人の海や船との付き合い方の違いを、関口氏はこう語る。「フランスだと約1カ月はあるヴァカンスで、別荘なり船なりで暮らすわけですが、その居住性が悪く、快適に過ごせないと本当にどうしようもないわけです。日本だとせいぜい2、3日の細切れ休み程度、多少不便でも我慢するか、となる。これが決定的です。ユーザーからの要望がフランスと日本だとケタ違いの差。それにきちんと応えて船を造るわけですから、日本のメーカーには勝ち目がないんです」
 関口氏が嘆くのは、日本の都会に面した海がほとんど埋め立てられ、工業地帯になっていること。結局、きれいな海を求めると、都会から遠く離れねばならない。クルージングの後も、ハーバーのクラブでワインも楽しまず、休日夜の大渋滞を避けて、そそくさと都会に戻る。一泊して月曜の朝に帰る、ということもない。それではヨットを中心としたクラブ的なつながりやライフスタイルは定着し得ない。それが現在の日本のプレジャーボートが置かれている環境だ、と関口氏は言う。
 とはいえ以前は冒険的な要素が強かった日本のセイラーたちにも、最近では引退後にゆったりとクルーザーで、心豊かに旅して廻るスタイルが現れていることに、関口氏は希望も持っている。帆を張り、風の力で走るヨットは究極のエコロジーツール。海を思うことは、この水の惑星を大切にすることにも直結する。それゆえクストーは母国フランスの核実験を激しく批判したのである。
 でも、もしプレジャーボートのある都会暮らしを考えるなら、「マイアミバイス」の刑事のようにクルーザーに住むことかな、とも夢想する。中古艇ならば結構手に入れやすい価格になっているようだ。  (慎)

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