日本で飲酒運転に対する罰則が強化されて久しいが、飲酒運転に寛容であり続けたフランスでも、ついに大なたが振るわれる。
フィヨン内閣は昨年11月、飲酒運転撲滅を目指すとして〈Ethylotest 体内アルコール濃度を検査する装置〉の装備を、アルコール類を販売する店舗のみならず、全ての車へも義務付けることを決定した。同様の話は2003年にも出たが、立ち消えになっていたという。
なぜこのタイミングで? 発表時にはいつから実施するなど一切未定だったことから、大統領選へ向けた実績作りではないかとささやく声もあった。とはいえこの法律の適用が始まれば、フランス人ドライバーに大きなインパクトを与えることは間違いない。何せフランスのパーティでは誰もがお酒を飲む。アペリティフに始まり、食事中はワインを何杯か飲むのがふつう。それなのに、「運転するからきょうは飲まないよ」といった言葉を、私はいまだに聞いたことがない。
道路交通法がどんどん厳しくなる中、死亡事故の31%は飲酒が原因という事実に対し寛容であり続けたことに疑問を感じ、何人かのフランス人に私の疑問をぶつけてみた。「今も十分厳しいさ。でも飲酒検問なんか一度も受けたことも見たこともないね。日本はそんなに厳しいの?」「それがフランスさ」「罰則をこれ以上厳しくしたら、取り締まる人だって、仕事が終わってから飲んで帰れなくなるでしょう?」とのこと。
このようにドライバーたちの反応は思いのほか冷めていたが、対する政府は「Ethylotest本体は1ユーロから2ユーロ。ドライバーや関係者は今年7月1日から11月1日の間に所持を完了させなくてはならない。怠った場合は11ユーロの罰金を課す」と、本気の姿勢を崩していない。私としては、不幸な事故が減ってさえくれれば文句はないのだが・・・。(和)