会計監査院は3月7日に公表した報告書のなかで、付加価値税(TVA)に関する不正取締りが非常に不十分だと政府を批判した。国庫の最大の収入源であるTVA(2011年度で1320億ユーロ)に対する不正行為による損失は年間100億ユーロを超え、膨大な財政赤字を抱える政府にとっては大問題。税務局の審査で不正が明らかになって回収されるのはわずか28億ユーロ。2000年から2010年の間にTVA総額は20%増えたにもかかわらず、不正回収額は30億ユーロ前後と横ばいだ。
TVAの不正は、欧州連合内の取引では商品を買った国ではTVAを支払わず、商品を売った国で支払うという自由流通原則を利用して行われることが多い。TVAなしで購入した商品をTVA付で国内企業に転売した後に、ペーパー会社を解消するとか、国外で買った商品を架空で安く転売し、払いすぎたTVAを払い戻してもらうなどのやり方が多く用いられている。こうした不正に対し、会計監査院は、明確な戦略と目標を掲げた不正取締り対策を政府に求めている。(し)