登下校中のフランスの小学生を観察すると、「今日はこの子は体育の日だな」とだいたい察しがつく。なぜなら体育のある日は、みな朝から思い思いのスポーツウェアを、家から着て登校するからだ。もちろん足下はスニーカーで決まり。日本のように、校内で指定の体操着に着替えるということをしない。「汗をかいたら気持ち悪いでしょ」とミラに聞いても、「汗をかいたらあとで涼しくなっていい」などと言う。日本より湿気がなく、ベタベタ感も少なめだから可能なのか。いずれにしてもスポーツウェアを着ての登校は、細かいところは気にせず、かつ合理的なフランスらしさがあると言えなくもない。
さらにプールの日になると、ミラは朝から洋服の下に水着を着て登校する。これにはやや閉口したが、先生たちも黙認してるし、私も「まあいいか」と放任してる。フランスの学校は日本と違って校内にプールがないため、近くの市民プールに大移動をしての授業だ。既存の施設を有効利用してるという意味では、こちらもなかなか合理的。市民に一般公開する前の早めの時間を使っているのも賢いのでは。私も何度かプールの授業の引率をしたが、町中を歩く子供たちは、遠足気分でなかなか楽しそうだった。プールの授業後は、「シラミが移るからイヤ!」と、子供たちがブラシの貸し借りを渋り合っていたのも、これまたフランスの風物詩であった。(瑞)