〈仕事ぶり拝見〉第9弾は、パリ東駅近くに店を構える理髪師、ミシェルさん。彼が一人で切り盛りする店内には、シャキ、シャキと、ハサミの音が響き渡る。1964年に当時のユーゴスラビアからパリにやってきた少年は、65歳にして現役だ。時代の移り変わり、流行のカット、祖国の紛争…。
「お客様は髪を切ることによってリフレッシュし、リラックスするため、ぼくに会いに来てくれるんだ」。そんな自負を支えに、定年間近となっても、この仕事を続けたいと意欲を見せてくれる彼の、ハサミと共に過ごす一日を追ってみた。(麻)
構成・文・写真:仲野麻紀
ハサミの使い方が理髪師の腕の見せどころ。
刷毛。切り終わった首周りの髪を払う。 これは専門道具店ではなく、 ミシェルさんが街で偶然みつけたもの。
カミソリ。長年使っているが、切れ味が 衰えないように毎回刃を入れ替えて使用。