今、ここにあるモノやコトの記録という点では、写真表現は圧倒的な強みを持つ。その特性を生かしながら、見過ごされた社会の闇に光をあて、消えゆく古き良き姿を残すため、19世紀後半から20世紀前半に展開したヨーロッパのソーシャル・ドキュメンタリーを紹介するのが、この写真展だ。
写真発祥の国、フランスからは、ブラッサイ(1899-1984)、ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)が、イギリスからはトーマス・アナン(1829-1887)、ジョン・トムソン(1837-1921)、ビル・ブラント(1904-1983)、そしてドイツからハインリッヒ・ツィレ(1858-1929)、アウグスト・ザンダー(1876-1964)といった7人の写真家が登場する。
国家的プロジェクト、あるいは社会的なキャンペーンとして写真が大々的に使われたアメリカとは異なり、ヨーロッパでは個々の写真家の美意識や感性によって、記録性と芸術性に優れた写真が数多く生み出された。この流れは21世紀の今も、世界中で多くの写真家たちが引き継いでいることであろう。その原点を知るための、写真展だ。
2011年12月10日(土)〜2012年1月29日(日)10:00-18:00
東京都写真美術館
〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
問合せ:03-3280-0099
http://www.syabi.com