フィヨン首相が8月24日に発表した財政赤字削減策の一環である、不動産のキャピタルゲイン(本人が住む住宅は除外)への税控除削減策が9月7日に国民議会で採択された。政府は当初、税控除の廃止を予定していたが、あまりにも急激な方向転換だということで、税控除率を徐々に下げる案に変更された。つまり、不動産購入後5年までは税控除ゼロ、6〜16年まで控除率が年2%ずつ上昇し、17〜24年までは年4%ずつ上がり、25年以上で年8%上昇する。30年経つと控除率が100%になる。現行では5年を過ぎると年に10%ずつ控除率が上がるので、15年で控除率が100%になっていた。当初の案では新控除制度は8月24日からスタートする予定だったので、不動産売買がストップすると見られていたが、修正案では来年2月1日以降に売買契約が成立するものが対象であるため、今度は、現行の控除制度の恩恵にあずかるため1月までに不動産の売買ラッシュが予想されるという事態になる可能性がある。政府の方針転換のために、今後、不動産業界はかなり混乱しそうな気配だ。(し)