絵画の修復家—「芸術家に修復を頼んではいけない

代表のアネットさん。モネ、マネ、ルノワールなど巨匠の作品も扱ってきた。
代表のアネットさん。モネ、マネ、ルノワールなど巨匠の作品も扱ってきた。

赤レンガ造りの高架橋下にアトリエ&ギャラリーがひしめくパリ12区のヴィアデュック・デザール。絵の修復アトリエ〈Le temps
passé(過ぎ去った時間)〉は、時おり通行人の足を長く止めさせる。ガラス越しには、文字通り「過ぎ去った時間」を取り戻すべく、修復家たちが絵筆を
動かす。
 代表のアネット・デュエさんはこの道30年のベテラン。70年代に修復の技術を本場フィレンツェで学んだのち、帰国しパリで独立。少し
ずつ仕事の幅を広げ、10年前から現在の場所に。ここでアシスタントとともに年間70枚から80枚の絵画の修復をこなす。持ち込まれる作品は15世紀から
現在までと幅広い。以前は市や美術館ら公的機関が主な顧客だったが、現在は不況で個人客が全体の8割。「公的機関はとかく計画が進まない。9年前に見積も
りを出した作業に、GOサインが出たのは一カ月前」とアネットさんは苦笑い。
 修復と一口に言っても作業は様々。キャンバスの裏打ち作業、補強用
の糊の用意、絵の表面の凹凸をなくす作業、もちろん色を補う補彩作業。よく見ればアトリエ内は見渡す限り女性ばかりだ。「昔から修復家は女性が多い。家で
もできるし女性は忍耐力がある。それに女性の方が近くを見るのに適した目を持ってる」。なんでも太古の昔から狩りに出る男性は遠くを、家の仕事をする女性
は近くを見るのに適した目へと進化を遂げたとか。
 最後に修復のコツを聞いてみると…?「絵をあるがまま受け入れること。芸術家よりも医者に近
い。医者は可愛い子だけを診たりはしないでしょ」。常に黒子(くろこ)に徹し、自意識を挟まないのが大切だという。「だから絵の修復を一番頼んではいけな
いのは芸術家なんですよ」(瑞)

修復用の絵の具を使う。

修復用の絵の具を使う。

女性が大活躍する修復の仕事。 「でもフランスに修復家が何人いるかわからない」とか。

女性が大活躍する修復の仕事。 「でもフランスに修復家が何人いるかわからない」とか。

表面にできた穴を埋める作業中。

表面にできた穴を埋める作業中。

キャンバスの裏打ち作業を進めてます。

キャンバスの裏打ち作業を進めてます。


L'Atelier du Temps Passé

Adresse : 5 avenue Daumesnil , 75012
TEL : 01.4307.7226
URL : www.atelierdutempspasse.fr/