今、日本が世界に誇れる文化といえば漫画とアニメ。昨夏日本で公開ヒット、評価もうなぎ登りの細田守監督『サマーウォーズ』がフランスにも上陸する。
物語は、あの「懐かしい日本の夏」の光景をバックに展開する。主人公は内気な高校2年生の健二。美人の先輩、夏希に雇われた「バイト」で彼女の田舎、長野県は上田市の旧家、陣内家に赴く。90歳を迎える曾祖母の祝賀の宴に大家族が集合してくる中、健二は夏希のフィアンセを演じるハメに…。真夜中、携帯に入ってきたメール「これを解け」に応じて数式を必死に解く健二。彼は実は数学おたく。数字を見ると血が燃える。ところが翌朝、彼が解いた数式のせいで世の中が大混乱に陥っている。仮想国OZのセキュリティーシステムが破綻して、実世界のコンピューター制御に影響を及ぼしはじめたのだ。どうも健二が夜中に解いたのはOZのセキュリティーに侵入するためのパスワードだったらしい。何者かが今そこから世界に挑戦状を投げかけている。なんと、世界を守るために、この挑戦状を受けて立ったのは陣内家の人々。武家の血をひく90歳の栄ばあちゃんの鶴の一声で、健二を中心に、仮想国OZの悪者との壮絶なバトルが繰り広げられる。そして最後は〈こいこい〉、花札での最後の勝負に立ったのは夏希だった…。近未来的なバーチャル世界とめちゃハートフルな日本の家族をまたにかけた熱い物語。随所に仕掛けられた伏線が、笑いと涙に包まれたラストへ向けて効果的に集結してゆく脚本と演出に大喝采を贈りたい。デジタルを向こうに回したアナログな世界、このミクスチャーがとっても今日的だ。細田守は宮崎駿の後継者として、日本の、そして世界のアニメ界を今後リードしてゆく存在となろう。イチオシ必見! (吉)