「育児休暇は4カ月の予定。家を買ったばかりだから働かなきゃ」。6月に第一子の出産を控えたソフィーさんとアディルさん。取材に訪れた日曜日も、自宅で仕事を続ける多忙ぶり。ともにマーケティング専門で、彼女は企業のコンサルタントを、彼は調査機関で働いている。 4年前、共通の趣味を通して出会い系サイトで知り合った。1カ月後、同じ音楽コミュニティの仲間と集まったのが、リアルな出会いのはじまり。「最初から恋愛目的じゃなかったから駆け引きはなし。一緒にいるほうが自分らしく思えるようになってきて」と声をそろえる。それにしても、ある程度の大人が共同生活するのに難点はなかったのだろうか? 例えば二人の場合、宗教が違う。モロッコ人でイスラム教徒のアディルさんに対し、無神論者のソフィーさん。「家ではハラール食品しか買わないし、彼は豚肉を口にしないけど、それだけのことよ」と彼女が言えば、「外食すれば、魚を選ぶかベジタリアンになるだけ」と彼。基本的な価値観が同じだから、宗教や慣習の違いは問題ないという。「多分、彼がムスリムでも、それほど厳しい戒律に従っていないこと、そして西洋文化に馴染んでいたことがスムーズにいった理由でしょう」とつけ加えた。アディルさんは大使館に勤める父の仕事の関係で、ブリュッセルで生まれ育つ。その後、ラバトに戻るが、25歳でパリに留学。「結婚して家族をつくることは、僕にとっては重要だった」。昨年の秋、13区の市役所で結婚。披露宴では真っ白なカフタンとジュラバに身を包み、モロッコ式に盛大に。すぐに妊娠。郊外のノワジー・ル・セックに一軒家を購入した。今は新居の改装、産休前に済ませる仕事、産科通いで息つく暇もない。 子供の宗教問題はどうするの?との問いに「ありきたりな質問ね…」と苦笑いするソフィーさん。「それは子供が決めることだよ。宗教を既成観念の枠で決めるのは偽善的な考えだ。信仰を押しつけるなんて、誰にもできないんだから」アディルさんは穏やかに語った。(咲) これから相手に期待したいことは? 前回のバカンスは? 夢のバカンスは? 最近、二人で観にいった映画は? お気に入りのレストランは? カップルとしての満足度を5つ星でいうと? |
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