「僕は彼女より先に逝くから、彼女と娘たちに遺産を残しておきたかった」これがプロポーズの動機だ。『ゴー・ミヨ』のワイン部門編集長ピエールさんと、小児精神科医養成所の講師ローランスさん。互いを「ピエロ」、「ロロット」と呼びあい、握った手を片時も離さない。 2003年4月、彼女の友人が催したブランチの席で出会った。両脇にダンボール2箱分のワインを抱えて登場したピエールさん。だが当時の彼女は全くの下戸。「あの席ではじめてテイスティングを見たの。オレンジジュースだって種類やグラスによって味が変わることを知ったわ」。一瞬にして「この人だ!」と直感したピエールさんに対し、「誰かを好きになったり、誰かから愛されたくもなかった」とローランスさん。そんな彼女を笑い飛ばす彼。「何が怖いの? 一杯飲むだけじゃないか」。彼女は長年のパートナーと別れて2年が過ぎていた。2人の娘と暮らしながら、女友だちと出かけたり、サルサ教室に通ったり、独身生活に慣れてきたばかり。翌月、彼女は娘を連れブレストへ休暇にでる。彼もブレストから15分の友人宅へ向ったが、会うことはなしに毎朝、起きがけに「コーヒー? それとも紅茶?」と携帯メールを送信。まるで隣にいるかのように。パリに戻ってからもこの習慣は続いた。 夏が終わりを告げるころ、ピエールさんは彼女の住まいに迎えられる。当時、17歳と12歳の娘、老犬との共同生活に支障はなかったのだろうか?「僕は一度も父親になろうと思ったことはないよ」。新しい父としてではなく、別のスタンスで向き合うのがよかった。あくまでも自然に。 昨年7月、互いに初の結婚に踏みきる。「私は昔から結婚が怖かったけれど、してみれば何も変わらなかったわ」と彼女。新婚旅行には娘同伴。ところで二人には共通点がある。ピエールさんはユダヤ系でローランスさんはカトリック系だが、ともに先祖はピエ・ノワール(アルジェリアからの引き揚げ者)。お互い自慢のクスクスの味は違うが、同じ地中海のルーツが、あ・うんの呼吸を生んでいる。(咲) これから相手に期待したいことは? 前回のバカンスは? 夢のバカンスは? 最近、二人で観にいった映画は? お気に入りのレストランは? カップルとしての満足度を5つ星でいうと? |
|