製造計画が遅れている軍事輸送機「A400M」の資金調達問題で内輪もめが起きている。A400Mは仏独英西の4カ国が共同出資するエアバス社が開発している新型軍事輸送機。参加国の入れ替わりなど紆余曲折を経て、現在は上記4カ国とベルギー、ルクセンブルク、トルコの7カ国が合計180機を発注。ところが、納入計画は当初の2010年から2013年にずれ、開発費も当初の200億ユーロを110億ユーロも超過する見込みだ。
この超過分をだれが払うかが問題だ。モラン仏国防相は2月4日、参加7カ国は15億ユーロくらいしか融資できないので、エアバスが相当の出費をすべきだと発言。ところが、過去にA400M計画を投げ出しかけたエアバス側は、すでに24億ユーロの赤字を出しているため、単独で大きな負担を負うことはできないと拒否。独・英も追加負担をしぶっているために、調整は非常に難しくなりそうだ。国防省軍備総局がエアバス社の計画遂行のまずさを非難するなど、責任のなすり合いの様相を呈してきたこの計画、昨年12月に試験飛行にこぎ着けたものの、その行方は決して明るくはないようだ。(し)