ムートン・デュヴェルネ駅(4号線)で下車したら、界隈の散策に出かけよう。この辺りには、かつて〈ヴィラージュ・ドルレアン〉と呼ばれた、パリには珍しい、一戸建て住宅が建ち並ぶ地区がいくつか残っているからだ。 まずは〈ヴィラ・アドリエンヌ〉へ。ジェネラル・ルクレール大通りの17と19番地の表示の間に立派な門がある。夜間は暗証番号を押さないと入れないが、昼間なら大丈夫。ただし、内部はあくまでも個人宅なので慎み深く見学させて頂こう。中に入ると中央に長方形の庭園が広がり、落ち葉のじゅうたんが晩秋の風景を作っている。三方を囲む建物は19世紀末の建築で、それぞれの出入り口にベルリオーズやパスカルといった偉人の名が掲げてある。 アレ通りへ足を進めよう。番地をさかのぼるように歩いていくと、左手に〈ヴィラ・アレ〉という袋小路が現れる。石畳の小道に沿って立ち並ぶ家々には田舎風な趣あり。通りの12番地から36番地にも小さな庭が付いた一戸建てが半円形に並びパリとは思えない様相を呈している。こんなところに住めたら素敵なのに、と思わずため息。 こうした落ち着いた街並みは、ルクレール大通りの反対側にもいくつかあり、代表的な例がムートン・デュヴェルネ通りの14bis番地だ。ここが面白いのは、ごく普通のファサードから中へはいると、中庭ではなく、両側に住宅が連なった小道が出現すること。 近くには朝市が立ち、公営プールあり、評判のレストランや肉屋さんあり。宝くじに当たったらこの辺に引っ越すことにしよう。(里) |
Villa Adrienne
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