シラク前大統領が1996年に公約し、サルコジ大統領もそれを引き継いで約束していたレストランの付加価値税TVA率引下げが、3月10日のEU財務相会議の合意で実現の運びとなりそうだ。TVAが現行の19.6%から5.5%になるか、あるいは中間の9~10%になるかは未定だが、仮に5.5%になったとして、消費者への見返りはあるのだろうか?
レストラン業界連合によると、TVA引下げは、雇用条件の割に低すぎる従業員の給与アップ、雇用維持、施設・設備等の改装・修理・買い替えなどに充てられ、価格には反映されないという。かつて、同業界はTVA引下げが4万人の雇用創出を可能にするとしていたが、不況のあおりで客足が3割減といわれている現状では、倒産を避け、解雇をしないようにするのがせいいっぱいというわけだ。仮にTVA引下げがすべて価格に反映されたとしても、課税前のレストランでの料理が20ユーロとすると、現行TVAでは課税後24ユーロ、5.5%なら21ユーロと、数ユーロの違いでしかない。この不況時、庶民にとってレストランは手の届きにくい存在であることに変わりはなさそうだ。(し)