雑誌編集部で働くパリジェンヌのコリーヌさんが3年前に購入したアパートは、全改装の必要があったため市場価格より大分安価だったそうだ。その分、改装には、とことんこだわることができ、完成したアパートは彼女のセンスとアイデアがいっぱいにつまった思い通りの空間に仕上がった。テーマはモダンとレトロの融合。
半年以上かけた改装工事中、上階の住人による水漏れ事件をきっかけに発見された天井の梁(はり)は状態が非常によく、すぐに活用を決めた。擦り切れたカーペットを取り除くとレンガ色のタイルが顔をのぞかせた。レトロなイメージをかもし出すのに一役買っているのは、エマウス*のリサイクルショップで購入した家具たちだ。RERに乗って自力で運んだ(すごい!!)というサロンのテーブルは10ユーロ、椅子も1脚10ユーロ。祖母の別荘にあった代々伝わる鏡やたんすも所々で強い存在感を放つ。すべてを大量生産の激安家具でそろえることも可能だったけれど、こうやって苦労しながらも、古いものをrécupérer(回収、再利用)し、新しい家具と組み合わせていくと、自分だけのスタイルが完成し思い入れがより強くなる。イル・ド・フランスの小さな村にある古い一軒家で過ごした少女時代。夏休みは祖母の別荘で、のどかな田舎の風景や手触りのよい古いリネンに囲まれていた。心が落ち着く空間は、自然とそんな優しい思い出の彼方にあるのだろう。(凛)
*エマウス:www.emmaus-france.org