![]() 今や誰もが認める実力者だが、意外にも20代は普通の会社勤めをしていたとか。しかし読書と古いものが好きだった彼は、三十路の声を聞くと同時に、一念発起して製本の講習に通い出す。初めて製本道具に触れた時、「これが天職」と瞬時に理解した。比較的遅いスタートながら、器用な彼はすぐに頭角を表す。経験20年の今では、月、火は学校で後輩指導にあたり、水から土はアトリエで仕事をこなす多忙な日々だ。そしてルリユール界を代表し、伝統芸を紹介するため海外に赴くことさえある。1996年にはパリの姉妹都市である京都に招かれたことも。「日本人は技術に対してレスペクトの念が強い。2時間も立ち止まって見ていた人さえいた。フランスだったら、すぐに『私の家族が同じような本を持っている』だとか、自分のことを自慢したがるんだけどね」 そんな彼の明日への活力となるのは、なんといっても、客の喜ぶ顔に尽きるという。「だから本が仕上がった時に、お客さんの反応を見るのが一番の楽しみさ。わざわざ函(箱)からゆっくり開けて、ちょっと焦らしてみせたり…。僕もさりげなく演出をしてるんだよ」(瑞) Jacky Vignon RELIURE : 2 rue Gonnet 11e 01.4464.7828 |
![]() ばらばらだった紙の束を、特製のかがり台を使って糸でかがれば、本も壊れにくい。
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