毎年ミラはサンタに手紙を送る。今まで住所はジルの両親宛にしていたが、最近はミラも字が読めるので、もうあまり好ましくないだろう。だが最近、フランスでは郵便局の粋なはからいで、住所は何でもいいからサンタ宛に郵便を出すと、ある地方の事務所にまとめられ、誰かが返事をしてくれるという噂を聞いた。半信半疑の私は、一応近くの郵便局に行って聞いてみることに。局員さんは、「専用のポストがあります」と言って、サンタのイラストが描いてある箱を指差した。ここに入れれば安心そうだ。
家に帰って、早速ミラに今年もサンタへ手紙を書くように促す。私が「住所はなんだっけなあ」と言うと、ミラが「私知ってるよ! リュタン通りだよ」と言う。リュタンとは、いたずら好きの妖精のことで、インターネットで確認すると、クリスマスの時期にサンタのアシスタントとなって働く影の立役者でもあった。サンタの住む家の名前にぴったりである。これで無事、今年もサンタに手紙を届けることができそうだ。返事が本当にくるのか、まだ謎ではあるが。
しかし昨日、ミラは「サンタって本当はいないんだって。エリザベットが言ってたよ」と訴えてきた。幼稚園の友だちが余計なことを吹き込んだらしい。「え、でも本当にいないのかなあ?」ととぼけてみせたら、ミラはちょっと考えて「心の中にいるのかも」と答えた。(瑞)