11年間社会党第一書記を務めたオランド氏後任選挙に向けて夏以来、前大統領選候補セゴレーヌ・ロワイヤル(55)、ベルトラン・ドラノエ=パリ市長(58)、マルチーヌ・オーブリ=リール市長(58)、若手ブノワ・アモン(41)が次々に旗を揚げ、激烈な第一書記の座争奪戦を見せた。
11月6日、4動議への党員投票でロワイヤル29%、ドラノエ25%、オーブリ24%、アモン19%と4つに分裂。15-16日、ランスでの党大会では、誰が店を継ぐかで兄弟姉妹喧嘩丸出しのシーンがくり広げられた。トップのロワイヤルが「外に開かれた党を」と、前大統領選で中道派バイルー氏と組もうとしたことに根をもつ3候補とも、TSS(Tout sauf Ségolèneセゴレーヌ排除)戦線で1対3の激戦をくり広げた。
TSS作戦の中心に、ドラノエ派の黒幕でロワイヤルを嫌悪するジョスパン元首相(彼女が米国風サポーター依存の党にしようとしていることや、メディアによる彼女のスター化に反感)。
そして彼女の「互いに愛し合おう」といったカトリック調の演説を毛嫌いするオーブリは「社会主義者のための社会党を」と党の古城を守るジャンヌ・ダルクのよう。彼女はファビウス元首相やストロス=カーンら社党旧体制幹部を自分の陣営に組み込む。アモンは党の世代交代と、社会党をもっと極左寄りにすることでロワイヤルに敵対。4候補とも「党の刷新」を掲げるが、誰と誰が組んで何を刷新するかで意見が対立。
ドラノエはオランドの支持を得、次期大統領選候補も夢に見、自信満々だった。夏前に『De l’audace 果敢』を出版し「社会主義者でリベラル」と自認したため、金融危機で「リベラル」はそぐわないなか、社会党のアイデンティティを守る旗手となった。しかし、4人の取っ組み合いに嫌気がさしたのか16日に候補撤退。が、翌日オーブリ側につき、影が薄くなったのは避けられない。今選挙での一番の敗者はドラノエかも。
11月20日、全国3200カ所で行われた党員約13万人の投票でロワイヤル42%、オーブリ35%、アモン23%と、誰も過半数を得ず翌日、女同士の一騎討ちに持ち込まれた。アモン支持票がどれだけ2派に流れるかの勝負。42票の差でオーブリ50.02%、ロワイヤル49.98%という数字が出るや、後者が敵の八百長の疑いをもち出し、文書偽造で訴えるか、再度決選投票をと迫ったので25日、得票点検委員会に持ち込まれた。最終的にオーブリが102票多く、党議会(204名)が彼女に軍配をあげた。ただちにオーブリが敗者に手を差しのべたがソッポを向かれる。二人の政治姿勢の違いよりも人間的確執の深まり?
オーブリが社会党史上初の女性第一書記になったものの、ほとんど五分五分の支持を得たロワイヤルとの対立共存体制となるかも。しかし、 内輪もめがここまできては党員も市民もうんざり、社会党に見切りをつける人が増えそう。4年後のサルコジ大統領再選はますます確実に。(君)
10月26日付リベラシオン紙の表紙。