フランスの郵政民営化に向けての動きが活発になってきた。ラ・ポストの株式上場を視野に入れた株式会社化を打ち出したジャン=ポール・バイイ総裁の方針表明を受けて、サルコジ大統領は9月17日、政治家、労組、ラ・ポスト・政府の代表からなる、ラ・ポストの定款変更に関する委員会を設置すると発表した。労組、社会党、共産党など左派政党による民営化反対運動を予測しての措置だ。反対署名運動や23日の抗議スト(経営者側発表で27%、労組発表で40%の職員が参加)と、反対派の動きも活発だ。
金融サービス部門はすでに2006年に〈バンク・ポスタル〉として株式会社となり、小包サービスの子会社化など、旧仏郵便局の分割と民営化は着々と進んでいる。あとは、欧州連合(EU)指令によるEU域内の郵便完全自由化によって、2011年を目標にした民営化がこれから急速に進められていくだろう。ドイチェ・ポストの民営化による4000の郵便局閉鎖と大規模な人員整理は、労組に衝撃を与え、国民にユニバーサルサービスへの不安を植えつけた。民営化の是非の判断は非常に難しい。(し)